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■ [1] 言葉が持つ世界を理解するための、プロトタイプ理論。
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「言葉が持つ世界」
このトピックでは、僕たちが使う「言葉」というものに注目して、言葉がおりなす「世界」というものをほんの少し理解してもらおうと思います。
レポートでも触れている、面接時に相手が普段使うであろう専門用語やキーワードを話の中に含む事について触れていますが、その部分と絡む内容なので理解しやすい内容にもなっていると思います。
この知識を持つことで、あなたが思う以上に面接官の印象に残る言葉を、こちらで選んで伝える事ができるようになります。
伝える言葉に訴える「力」を込める為にも、ぜひ自分のものにして下さい。
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まずはこの根底に流れる考えをお伝えします。
それが、プロトタイプ理論。
まあ聞きなれない言葉だとは思いますが、そのまま読み続けてください。
一言で言えば、
「人が持つ言葉の印象は、一般的な事例と類似性によって構成されている」
これがプロトタイプ理論です。
このプロトタイプ理論は認知心理学上の概念で、簡単に言えば「言葉」に対してのイメージ・印象を考察した理論です。
ただこの理論は是非が未だに問われているので、今回はその概念をお話しする程度です。
あくまでも提唱されているだけなので、深く話せない、とも言えますが(苦笑)
例えばですが、「鳥」と言うとどんなものがイメージできますかと聞かれた場合<姓>さんならどんなものをイメージしますか?
スズメやハト、カラスにインコ、カモメや鷲、なんかを挙げると思います。
またはその挙げたものから、空を飛ぶ、羽がある、クチバシ、小動物、卵からかえる、
などもイメージできたでしょう。
思い浮かべた答えとしては、今挙げたものと似たような感じになったと思います。
ですがこの問いに対して、「犬」とか「堅い」とか「光合成」などのイメージしか出てこなかったと思います。
出てきませんでしたよね?
まあ、それ以外しか「出なかった」と感じた人も上記が一般的なので、それに合わせて読んで頂ければと思います。
もう少し具体的にすると下記のようになります。
Aさんは「鳥」と聞くと、スズメをイメージし、電線に止まっている姿が頭に浮かんでくる。
Bさんは「鳥」と聞くと、鷲をイメージし、渓谷を雄大に飛ぶ姿が頭に浮かんでくる。
となるのが普通です。
ですが、Cさんは「鳥」と聞くと、犬をイメージし、わんわんと吠える姿を頭に描く・・・・・・。
・・・・ないですよね?
Aさん、Bさんは良くて、Cさんは違う。
こう判断できるのは僕たちの経験から、どのようなものが「鳥」と呼ばれるのかという一般的な事例と、どのようなものが「鳥」と認識されるかという類似性を記憶の中に留めているから、となります。
だからこそ、Cさんのイメージは「鳥」ではないと判断できる訳です。
これがプロトタイプ理論の概念です。
さて、僕がこの理論を通して伝えたい事は、「言葉が持つ世界」の存在とその認識の仕方です。
そしてこの「世界」こそが、僕のレポートの理解をより深める概念となる訳です。
言葉が持つ世界。
大げさに聞こえますが、ようはその言葉が持つイメージみたいなものと思って下さい。
人は言葉を聞くと、まずその人が持つ記憶を思い浮かべます。
先程の「鳥」に当てはめるなら、スズメやハト、カラスにインコ、カモメや鷲などです。
そしてその思い浮かべたものに対して、空を飛ぶ、電線の上にいる、小さいなどの関連した情報を想起していく作業へと移行します。
これは個人によって違いますが、この情報が想起される状態こそ、言葉が織りなすその人独自の「世界」と言える訳です。
その世界を無意識に人は脳の中で確認し、「鳥」に該当するのはスズメであると確信を持つ訳です。
つまり、人が「鳥」とは何?を投げ掛けられると、
→スズメをボヤっとイメージする
→空を飛ぶ、電線の上にいる、小さいなどスズメに関しての情報を頭で思い描く
→スズメが、電線に止まっている姿がはっきりイメージできる
このような過程が頭でなされる、となります。
そして、この過程のスズメに関しての情報を頭で描いている事こそ、「言葉の持つ世界」そのものを指している訳です。
本来人間は言葉1つ1つを別個に認識するのではなく、キーワードから情報を派生させて、覚えたり考えたりします。
例えば「トマト」を覚える場合、トマト丸ごとを覚えるのではなく、「赤い、丸い、
食べられる、皮がある、ソースに使われる」などのように、個人が独自に派生
した情報をいくつも蓄えて覚えていく訳です。
そしてトマトとは?と聞かれた場合、派生した情報からトマトを脳が作り上げ
僕たちはそのイメージを認識し答える訳です。
先ほど例に挙げた「鳥」も同じです
頭の中に鳥の姿がイメージできると思いますが、それは脳が瞬時に
派生した情報を統合し、「鳥」を作り出し思い浮かべているのです。
そして「言葉が持つ世界」を頭で描き確認する訳です。
この「言葉が持つ世界」を面接官と同じにするとどうなるのか?
また、同じにするにはどうするのか?
これこそ考えて頂きたい疑問な訳です、僕は。
さて次に、本題の面接にどう活かすかと言う話に移行します。
長い前ふりですが、いつもの事だと流してください(苦笑)
面接でこの「言葉が持つ世界」をどう結びつけるか?
この答えが、言葉に対しての感じ方の違い、になる訳です
あなたと面接官はほぼ初対面です。
育った環境も学んできた事も今までの経験も、すべて違うでしょう。
それはつまり、同じ言葉を聞いたとしても互いに別の印象を持つ、
と言う事を意味します。
頭の中で構築されるイメージとそれが織りなす世界は、
人によって違う訳です。
面接官と対話をして気を付けなければいけないのが、
その言葉に対しての双方の感じ方です。
通常、対話のなによりの障害となるものは、面接官自身が持つ想定や
意見に固執し、それを守ろうとする姿勢です。
ようは自分の経験を1つの基準とし、それを容易に
変えようとしない事です。
これは認識的知覚にも繋がる知見です。
人は自分の持つ考えが、なぜか他人も同じように持っていると、
錯覚しがちです。
先程の述べた「鳥」ですと、鳥と言えば空を飛ぶ、鳥と言えば小動物
などです。
ですが実際は、スズメや鷲その他の事柄のように、人によって感じ方は
様々です。
同じ鳥を考えていても。
そして、一般的な「鳥」でさえ起こりえるイメージの違いは、
当然、面接での対話の中でも起こりえると理解して下さい。
あなたが発する言葉を面接官が聞いた時、こちらの意図とは違う
イメージを頭の中で作り上げている、かもしれない。
この感覚の違いをなるべく抑えるために、対話の中に入れて欲しい
言葉が「専門用語」「業界で使われる言葉」などです。
なぜ、「専門用語」「業界で使われる言葉」にこだわるのかと言えば、
一般のキーワードより専門のキーワードの方が、言葉の持つ世界に
比較的個人差がないため、です。
例えば、営業の仕事なら「飛び込み」。
この言葉だけでイメージが沸いてくるでしょう。
取引先の担当者や上司、売上げ目標や伝票、名詞なんかが
モヤモヤと頭に浮かんでくるかもしれません。
他にも、事務のお仕事なら「電話対応」。
専門用語ではないですが、よく使う言葉ですね。
お客様や連絡事項を取るためのメモ用紙、クレームの怒鳴り声や
営業先からの取次ぎ電話など、こちらもモヤモヤと頭に浮かぶ事
でしょう。
このように、専門用語や普段使うであろう言葉というのは、概ね
こちらが描くイメージと相手の持つイメージのズレが起きにくい
ものなのです。
共通認識できるであろう言葉を面接官に多く話す事で同じ世界を
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共有し、あなたの対話をより印象付ける効果を狙えるわけです。
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そしてこの考えを基にすれば、いかに面接官に知らない「言葉」を
使う事がマイナスなのか、わかると思います。
対話をしているのに、お互いの思い描いている世界が
違う訳ですから。
面接官に伝わり易いキーワード、そうでないキーワードを
区別して使う事で、かなり面接官に取って聞きやすい話が
出来る訳ですね。
「言葉が持つ世界」
これを知っておく事で、面接官がよく使う「言葉」を対話に入れる事を
理解しやすいと思います。
難しく捕らえるのではなく、対話をする上での1つの要素として
取り入れるよう心がけるだけで、簡単に効果が出る方法です。