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採用される奴と採用されない奴
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それでは本題の企業分析のお話しをしていきます。
企業分析では何を主に見るのか?
というか、見るべきなのか?
その点についてお話ししていきます。
まず売上だとか、企業理念、創業者の名前なんかを暗記する事や、商品や
サービスなどを知る(調べる)ことを企業分析と言います。
これに異論は無いと思います。
他にも企業のホームページや投資家情報、会社四季報や業界専門雑誌などを
活用して、市場を見ていく事も企業分析ですね。
これが一般的な企業分析であり、概ね正しい「方法」です。
ただ、どういった部分を主に注目するのか?どういった目的を持って行うのか?と
言う部分が抜けてしまっていて、僕が見る限りですがあまり意味のない企業分析に
なっている場合が結構あります。
そうならない為にも、企業分析では何を見るべきなのかお話ししていきたいのです。
ある採用担当者は言います。
またある担当者はこう言います。
「いやいや、考える事が出来て尚且つ明るく元気な人が良いですよ」、と。
また別の担当者はこう言います。
「やっぱり豊富な経験と実績、それと統率力を兼ね備えた人が欲しいですね」と。
こう言った要望と言うのは担当者なら誰でも持ち、「そういった人材なら直ぐにでも
採用します」と口を揃えて言います。
なんとなく想像できますよね。
これらは常套句みたいなものなので、あなたも感じているかもしれませんが、
多くの人がなんとなく上記みたいな事を面接官が思っているだろうと把握しています。
ですから、多くの人はこれらに合わせて自己分析をする訳です。
今までは企業分析をしなくても、求めている人材をある程度把握できていたので、
自己分析を徹底的にするスタイルが定着してきました。
こういった流れですよね、一般的な面接対策って(苦笑)
さて往々にして、面接対策は自己分析に終始する事があります。
例えば、Aという質問に答える為に、その答えを自分の中から探す作業をする。
Bという質問に答える為に、その答えを自分の中から探す作業をする。
書籍などを見れば、質問、回答例、それについての批評なんて具合に書いてあると思います。
その為、質問の答えを自分の能力や経験で如何に答えられるのか探す作業が重要に
なってきます。
と言うか、思えてきます。
さしずめ、質問の対策をする為に自己分析をするイメージです。
過去、僕が就職活動をしていた時は自己分析ブームと言うモノがありまして、
書店では自己分析の本が平積みにされて置いてありました。
ちょっと前に血液型性格判断ってのが流行ったと思いますが(古いですね~)、
あんな感じです。
書店に入ると特設コーナーがあったりしたんで、あなたも手にしてパラ見くらいしたかも
しれませんね。
僕の近所の書店では入口にコーナーがあって、めちゃくちゃ人混みが出来ていて
難儀したのを覚えています。
一消費者としてなんだかな~と思いましたよ(苦笑)
ま、それは置いといて、自己分析には昔ブームがあってですね、その名残で未だに
面接対策=自己分析と世間ではなっている訳です。
実際、今でも自己分析関連の本は毎年多数出版されていますよね。
多くの媒体で自己分析を徹底させるので、気付けば自己分析こそ面接対策と
思ってしまう現状が出来あがってしまった訳です。
当然こんな流れに対して反目する人は現れます。
「いやいや、俺(私)、自己分析なんかしないし」と言う一派です。
それと今までと同じ事をしていても採用されなくなったと言う現実があり、
自己分析のみの面接対策を改善しようとする動きも出てきました。
最近は結構メディア的にも有名な方が、自己分析は意味がないと声高に
言っているので、徐々に支持されている意見でもあります。
こう言った意見は、ここ2~3年ほどで結構多くなりました。
これは自己分析に傾倒した対策に対して、新しい方向性を見い出す事には
成功しています。
その事については、僕も賛同します。
やはり一辺倒の対策ではダメです。
ただその人たちの言う事を聞いていれば、詰まる所「企業分析をしましょう」と
いう点に落ち着きます。
かなり端折りましたけど(苦笑)
「夢や趣味なんか見ても仕方がない、もっと相手の事を見て相手に合わせろよ」
「自分の能力や経験ばかり見ても、相手を見なければ意味が全くない」
「相手の望むものを提示できれば自動的に採用だから、自分の事ばかり見る
自己分析は弊害」
と、まとめればこんな感じです。
かなり乱暴かもしれませんが(笑)
他の見解もいくつかありましたが、自己分析否定はの見解が「企業分析をしましょう」
なんで、そう思って頂ければこう言った意見に対して混乱する事無く冷静に見る事が
出来ると思います。
ま、この意見も少し偏り過ぎの面があると僕は感じています。
自己分析 VS 企業分析。
なんて構図ですが、結局のところ僕としてはどちらもしなくてはいけないと思う訳です。
ゴチャゴチャ言ってないで。
企業分析や自己分析をして何かしら弊害を感じるなら、それはそもそも論で
やり方がおかしいだけです。
また面接対策は時間が掛かるから集中して1つの事を行うなんて言っている人もいますが、
時間ぐらい作れなければ社会人としてどうなの?ってレベルです。
自分の今後を決める訳ですから、徹底的にしなければきっと納得できないと思いますよ。
普通は。
この辺に対しては結構無責任とも思える発言があるんで、声を大にして言いたいですが
自己分析と企業分析をちゃんとしたやり方で行う事で土台ができ、自己PRも志望動機も
しっかりしたものが書ける訳です。
まあ追々送るメールや今までのレポートやメールで、僕が言う意味は納得できると
思いますので楽な方に流されないようにして下さいね。
さてここで面白いデータがあります。
先程例として挙げた採用担当者の声ですが、要望を口にしていても
例外なく優先して採用している人材が実はいるんです。
コミュ力、リーダーシップ、論理的思考などの能力やもしくは性格の重要性を
挙げている人でも、多くの場合優先的に採用する人材がいます。
それはどういった人材なのか?
例えばですね、実際にある担当者の人にどんな人を採用しますか?
と質問したところ、
「適応力があって素直な人材が欲しい」
「いやいや、考える事が出来て尚且つ明るく元気な人が良いですよ」
「やっぱり豊富な経験と実績、それと統率力を兼ね備えた人が欲しいですね」
みたいな先程に挙げたような事を確かに言っていました。
しかしその企業で実際に採用した人に会ったんですが、どうも言っていた
要望とは違うような人物でした。
性格は可もなく不可もなく、元気かと言えばこれまた普通。
豊富な経験と言っても、年も若く統率するどころか自活する事をまずは覚えようね
と言う若者でした(苦笑)
ではなぜ採用をしたのかと聞いたら、「目利きができるから」と言うのが答えでした。
目利き、聞き慣れない言葉ですよね。
この企業はですね、名古屋の中心街でセレクトショップを営んでいるんですが、
目下の問題が「仕入」なんです。
セレクトショップと言うのは、経営者自身が好みの服をセレクトして販売する形態を
言います。
それとこの店は海外のブランド品を主に扱っていて、分かり易く言うと専門店とは
真逆のコンセプトにある形態です。
で、セレクトショップにおいて、仕入の失敗=売れないは死活問題です。
まあそれはどの形態の店でも同じなんですが、扱っている商品がブランド品であれば
その比重は嫌でも大きくなる事は想像できると思います。
主な商品はアバクロやFREECITYと言ったカジュアル系の服で、現地にいる
スタッフが確保して日本にどんどん送ってきます。
と言っても、話を聞く限りではスタッフの数も少人数でかなり無理をしながら
商品の確保をしているようです。
僕はこの店長とも長い付き合いなのでしばしば話すんですが、仕入れの
スタッフの確保が最も大きな問題で、いつも悩みの種だと言っていました。
つまりですね、この店にとって欲しい人材は、接客が出来る事よりも、性格が
良いよりも、販売経験があるよりも、商品を見る目を持つ人材。
この1点をクリアできる人材が、常に欲しい状態な訳です。
問題を解決できる人材が求められるのは当たり前ですよ、なんてレベルで
僕は言っていませんよ。
担当者が口にしていた要望を満たしていないのに、採用された事実。
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この事実を重く受け止めて欲しいんです。
当然先に挙げた要望を満たせるなら採用の可能性は飛躍的に上がるでしょうが、
それよりも優先される事項が実はある・・・。
それが、その企業が抱える問題に対して影響を与えられる人物と言う事です。
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影響と言いましたが、それは解決してくれる事であったり、数ヶ月以内に対処して
くれそうだと思わせる事であったりするので、それらをまとめて「影響」と表現して
いる訳です。
次は実際に僕がアドバイスした時の話です。
その企業は誰でも知っている大企業で、中途の募集にも1000人以上集まり
倍率も10倍以上と言う、再就職にはホント大変な企業でした。
その時はココまで大きな企業への指導はした事がなかったので、正直不安で
しょうがなかったです。
頼って貰ったのに役立てなかったらどうしよう、と。
ただ、中小企業においての合格の為の着眼点が大企業でも使えるかどうか
試してみたかったので、採用されたら代金を頂くという成果報酬でその時は
お受けしました。
まず僕なりに業界と企業のリサーチをして概要をまとめたものを渡し、
その人にはある一点について徹底的に調べてもらいました。
それが、企業が現在抱えている問題点は何か?という点です。
当時この企業はものすごくコンプライアンスを重要視していました。
その理由がですね、ニュースになるほどの不祥事を起こしたり、組織自体の
ずさんな運営のせいで信用をなくしたりと、企業自体の存続を危ぶむ声が
その時は高かったからです。
まあ余談ですが、今も問題なく?運営しているみたいですけどね(苦笑)
問題点にあたりを付け、それを考慮したアピールを僕は考えようとしたんですが、
当初その人は資格や経験に自信があったので、その点をアピールしたいと思って
いて、お互いの意見がちょっと平行線になっていました。
「鬼頭さんが言っている事は分かりますが、でももっと自分をアピールする
内容の方が良いと思うんです」って言う状態です。
それと、コンプライアンスについて触れるのには、すごく消極的でしたね。
なぜなら「そんな事をした経験はないから」、と言う訳です。
確かに経験がなきゃ言いようがありません。
ただ、企業が抱えている問題をカバーしたアピールがどうしてもしたかったので、
ちょっと視点を変え「熱意」を伝えるようにしましょうと、その時はアドバイスしました。
どういう事かと言いますと、この企業は信用をかなり落としていました。
そのため顧客の不安と言うモノは異常なほど増大し、状況を説明してその不安を
解消するだけでもきっと一苦労だったと思います。
ココで考えてみて下さい。
そんな状況下が続いた場合、人がどうなるのかを。
結論から言うと、凄いストレスが貯まるでしょうね。
で、逃げ出す。
ようは辞めてしまう訳です。
こう言った流れを避けたいと採用時に面接官は当然思っている・・・と
様々な分析から「推測」した訳です、その時。
「辞められたら困ります」なんてレベルではなく、その時点で抱えている
最大級の問題なので、採用の基準として優先される事は想像しやすかった
訳です。
その根拠となるデータもその時入手する事ができていたので、僕的には確信に
近い感覚を持っていましたけどね。
だからこそ、明確なビジョンを持ってその企業に入り役立ちたいと言う高い志を
持っている事を前面に出したアピールに変え、面接に訴えてもらうようにした訳です。
これらの意図を含んで「熱意」という意味を僕は使ったんですが、根拠やデータを
見せる事でより明確に僕の考え方を理解して貰い、彼女(その人は女性です)には
自己PRや志望動機を作成してもらいました。
他にもいくつか抱えている問題があったので、それについても適切な答えを
用意して貰い、いつでもアピールできるようにしてもらいました。
まあ、ここでは結果だけを書いている訳ですが、「熱意なんて想いだけを言うよりも、
実益を伴う事をアピールした方が絶対良い」と僕のアドバイスにかなりの抵抗を
持っていましたね、最初は(苦笑)
さてここで注意して欲しいのは、僕は熱意(想いだけ)で乗り切れと言っている訳ではなく、
企業が現在抱える問題を最大限考慮してアピールを考えろ、って事です。
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高い志があれば自分で動く事も問題に立ち向かう事も出来ます。
それは困難に対して逃げない事を意味し、逃げ出すかも知れないと思っている
面接官にとっては、企業にとって必要な考え(思考)を持った人材と映る訳です。
これは企業分析の結果、ストレスで辞めてしまう人が後を絶たない事が
問題であると推測したからです。
もし違う結論を導き出していれば、当然違うアピールを考えていました。
大切なのは企業が現在抱えている問題に対して、しっかり考慮してアピールを
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考える事なんです。
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で、詰めに詰めて出した結論は、「企業が抱える問題に対して
必ず考慮しなければいけない」と言う事で、僕が言った「熱意」に対しても
自分なりの解釈で受け入れてくれました。
・・・ここまでの道のりは長く険しいものでしたよ。
ちなみにこの人とのメールのやり取りは200通を超えていて、僕が書いた
文章量だけでも本2冊分は超えましたよ・・・(苦笑)。
さらに電話、直接お会いした時間、添削に掛けた時間も合わせると
かなりの時間になり、その徹底振りはある意味尊敬に値します。
ただですね、正直な話その人から「合格しました」って連絡をもらったときは、
心底安堵しました。
やっとメール地獄から開放される、と(笑)
さて、2つの例を挙げました。
1つはセレクトショップと言う中小企業で、もう1つは大企業のお話しです。
この2つの例から知って頂きたい事はたった1つ。
それは、企業が抱える問題を解決できる人は、最優先で
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採用される可能性が高いと言うことです。
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これがめちゃくちゃ重要な訳です。
この事実をしっかり受け止めて貰えれば、自ずと企業分析で何を見るべきなのか
わかると思います。
で、企業分析で何を見るべきなのかと言うと、
それは、企業が抱える問題点と言う訳です。
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この一点が明確になればなるほど、採用への道は開けます。
つまり、採用される奴とされない奴の違いは、企業が抱える問題に対して
しっかりアピールしたかどうかの違いと言う事です。
この部分に言及していないアピールは、採用されない可能性を多分に含む。
そう覚えておいて下さい。
なんでもこなす「優秀」な人材を企業は求めていますが、それ以上に優先する
人材いる事を今まで話してきた内容で理解して下さいね。